コンカフェやガールズバーで働いてみたいと思って求人を探すと、
「高時給」
「未経験OK」
「ノルマなし」
「自由出勤」
「送りあり」
といった魅力的な言葉が並んでいます。
もちろん、きちんとした店舗もたくさんあります。
ただ一方で、実際に働いてみると、
「求人に書いてあった時給と違う」
「聞いていなかった罰金や天引きがある」
「客を呼べないと出勤を減らされた」
「終電後まで働くのに送りがなかった」
といった問題が起きることもあります。さらに悪質なケースでは、求人に載っている店舗が実在せず、応募者を別の仕事へ誘導するための入口として使われることもあります。
この記事では、応募するときに最低限確認しておきたいポイントをまとめます。
最初に確認したい3つのこと
全部を完璧に調べる必要はありません。まずは次の3つだけでも確認してください。
- 本当に営業している店か(店名・住所・電話番号を検索する)
- 条件を書面でもらえるか(時給、控除、雇用か業務委託かなど)
- 違和感があれば、その場で決めない(「持ち帰って考えます」で大丈夫)
本当に営業している店なのかを確認する
求人を見ると、時給や衣装、バックなどの条件から確認したくなります。しかし、その前にその店が実際に営業しているのかを確認してください。
最低限、次のことは見ておきたいところです。
- 店名をGoogleで検索する
- 求人に書かれた住所をGoogleマップで確認する
- 電話番号を検索する
- 公式サイトや公式SNSが、継続的に更新されているか確認する
- 営業時間・料金・メニュー・イベントなど、お客さん向けの情報が実際に載っているか確認する
特に注意したいのは、検索しても求人ページばかり出てきて、お客さん向けの営業情報がほとんど見つからない店です。普通に営業している店なら、営業時間、料金システム、メニュー、店内写真、お客さん向けのお知らせなど、何らかの営業実態が見えてくることが多いはずです。
公式サイトや公式SNSがあるからといって、それだけで安心とは限りません。求人募集ばかりが目立つ場合は、「この店は本当にお客さんを入れて営業しているのか」を一度立ち止まって確認しましょう。
「別の仕事」へ誘導される求人に注意する
もっとも慎重になりたいのが、そもそもその店で働かせるつもりがない求人です。
たとえば「コンカフェスタッフ募集」という求人に応募したのに、
「その店はもう募集が終わりました」
「もっと稼げる店がありますよ」
「別の仕事のほうが向いています」
などと言われ、最初とは違う仕事へ誘導されるケースです。最終的に、性風俗など当初想定していなかった業種へ誘導されるのであれば、非常に大きな問題です。警察庁も、カフェなど一見問題のなさそうなアルバイトの募集をきっかけに、性的な被害につながるケースがあるとして注意を呼びかけています。
応募した店と違う仕事を突然提案されたら、その場で決める必要はありません。「今日は帰って考えます」で大丈夫です。
面接場所にも注意してください。運営会社の事務所で面接をするなど、正当な理由がある場合もあります。ただ、求人の店が確認できない、面接場所も別、運営会社の情報も分からないという状況は、応募者側から実態が見えにくくなります。「実際に働く店舗はどこですか?」「店舗を見学できますか?」は、確認しておきたいところです。
「雇用」なのか「業務委託」なのかを確認する
働き方には、店に雇われて働く「雇用」のほかに、個人として契約する「業務委託」という形もあります。契約の形によって、報酬の支払い方や控除の扱い、トラブルのときの相談先が変わることがあります。
応募前に、
「雇用契約ですか、業務委託契約ですか?」
「契約書や条件通知書はもらえますか?」
と確認しましょう。
なお、「業務委託」と言われても、実際の働き方(シフトを店が決める、勤務時間や仕事内容を店が指示するなど)によっては、労働者として扱われる場合もあります。判断に迷うときは、労働基準監督署や労働局に相談できます。
以降の項目には、雇用を前提とした内容も含まれます。業務委託の場合も、「何にいくらかかるのか」「報酬がどう決まるのか」は、必ず書面で確認してください。
求人票の時給と、実際の時給が違う
よくあるトラブルの一つが、求人には時給1,800円と書いてあったのに、面接では1,500円と言われたというケースです。
募集の段階でも、労働条件は正確に示される必要があります。条件が変わる場合は、変更の内容と理由の説明を受け、契約前に書面で確認することが大切です。採用時には、賃金や労働時間などの労働条件が明示される必要もあります。
「求人では○○円だったのに、なぜ変わるんですか?」とその場で聞いて構いません。そして、働き始める前に、
時給、バック、交通費、勤務時間、給与の締め日と支払日、控除されるもの
を書面で確認してください。求人画面は、応募時にスクリーンショットを残しておくと安心です。
遅刻・欠勤の「罰金」
夜のお店では、「遅刻したら罰金」「当日欠勤は○万円」といったルールを聞くことがあります。無断欠勤や遅刻が店に迷惑をかけること自体は事実です。
しかし、雇用の場合、「遅刻1回につき5,000円」「欠勤したら一律10,000円」のように、あらかじめ違約金を決めて支払わせることは、労働基準法第16条で禁止されています。
ただし、労働者の責任で実際に損害が発生した場合の損害賠償請求まで、すべて禁止されているわけではありません。大切なのは、「遅刻したから自動的に○円」という固定の罰金を、当然のものだと思わないことです。
給料から引かれるお金を確認する
給与明細を見たら、
「雑費」「管理費」「システム代」「衣装代」「共益費」
など、応募時には聞いていなかった金額が引かれている。こうしたケースも注意が必要です。
雇用の場合、賃金は原則として全額を支払う必要があり、税金や社会保険料などを除いて、店が自由に天引きできるわけではありません。使途が不透明な「事務管理費」「システム利用料」などの控除が問題になった事例もあります。
「使っていなくても毎月固定」の天引きにも注意してください。 衣装管理費、ヘアメイク代、送り代、ロッカー代などが、利用したかどうかに関係なく、毎月一定額が引かれる店もあります。たとえば、送りを使っていないのに送り代が引かれたり、ヘアメイクを頼んでいないのにヘアメイク代が引かれたりするケースです。
応募前や契約時には、次の点を確認しておくと安心です。
- 使った分だけか、毎月固定か
- 金額と内訳
- 使わない場合は引かれないのか、辞退できるのか
- 事前に書面で説明があったか
給与明細に知らない項目があれば、「これは何の費用ですか?使わない場合も引かれますか?」と確認しましょう。説明できない天引きが続く店は要注意です。
15分・30分単位で勤務時間を切り捨てられていないか
たとえば、18:00〜23:14まで働いたのに、「15分単位だから23:00まで」として14分間を切り捨てられるケースです。1日ごとの労働時間を15分単位などで切り捨てる扱いは、原則として認められていません。
開店準備、閉店後の片付け、着替え、清掃、会計作業なども、店の指示で必要な業務であれば、労働時間に含まれる可能性があります。「営業は23時までだから給与も23時まで」ではなく、実際に仕事が終わった時間まで記録されているかを確認しましょう。
実際の時給が最低賃金を下回っていないか
時給は高く見えても、罰金、不明な控除、無給の準備・片付け、労働時間の切り捨てが重なると、「実際に働いた時間で割ると、かなり低い」という状態になることがあります。
最低賃金を確認するときは、手取り額ではなく、最低賃金の対象になる賃金を、準備・片付けを含めた実際の労働時間で換算します。通勤手当や、時間外・休日・深夜の割増部分、賞与などは、計算に含めません。最低賃金は地域ごとに決まっていて、毎年改定されるので、正確に確認したい場合は、厚生労働省の最低賃金のページをご覧ください。
自分でも出勤・退勤の時刻を記録しておけば、給与明細と見比べられます。
「お客さんを呼べないならシフトを減らす」と言われる
コンカフェやガールズバーでは、キャスト自身のSNSや営業連絡で集客を求める店もあります。それが店の方針として明示されているのであれば、応募する側も判断できます。
問題は、求人では「ノルマなし」「営業なし」「未経験でも安心」と書かれていたのに、働き始めたら、
「今月何人呼んだ?」
「お客さん呼べないなら来週は出勤減らすね」
となるケースです。接客だけの仕事だと思って応募したのに、自分で客を集めることまで強く求められるなら、仕事の内容は大きく変わります。
応募前に、
「自分でお客さんを呼ぶ必要はありますか?」
「売上や来店人数でシフトが変わりますか?」
「キャスト個人のSNSでの営業連絡は必要ですか?」
と聞いておきましょう。
テキーラなどのショットを大量に飲まされる
お客さんと乾杯すること自体は珍しくありません。ただ、
「ショットを断れない」
「何杯もテキーラを求められる」
「酔っていても飲ませ続けられる」
ような環境は、安全面で注意が必要です。飲みすぎて店内で倒れたり、帰宅できなくなるほど酔ったりすれば、事故や健康被害につながります。
応募時には、
キャストドリンクはアルコール必須なのか、ノンアルコールに変更できるのか、ショットイベントなどで断ることができるのか
を確認しておくと安心です。「飲めないと働けない店」なのか、「飲まなくても働ける店」なのかは、大きな違いです。
終電後まで働くのに「送り」がない
求人に「終電考慮」「送りあり」と書かれていても、実際には条件が付いていることがあります。
たとえば、
「送りは○時以降だけ」
「一定額以上売上がある人だけ」
「今日はドライバーがいない」
「人数が集まらないと出せない」
などです。一方で終電後まで働くことを求められると、タクシー代が毎回自己負担になり、実質的な手取りが大きく減ります。
面接では、終電で上がれるのか、終電後の勤務は必須なのか、送りは誰でも使えるのか、送り代はいくらか(前述の固定の天引きになっていないか)、対象エリアはどこまでかまで聞いておくのがおすすめです。「送りあり」の一言だけで判断しないほうが安全です。
ティッシュ配り・客引きなど、店外で何をさせられるか
店内の接客だけだと思って応募したのに、長時間のティッシュ配り、ビラ配り、店頭での呼び込みを求められる店もあります。夏の炎天下や冬の寒い夜に長時間立ち続けるのは、想像以上に負担があります。
応募前に、「店外でのビラ配りや呼び込みはありますか?」と聞いておけば、ミスマッチを減らせます。店外業務があること自体が悪いわけではありません。問題は、求人では説明されていなかった仕事を、働き始めてから当然のように求められることです。
大手求人サイトに載っていても、自分で確認する
有名な求人サイトに載っていると、「審査されているから大丈夫」と思うかもしれません。求人サイト側も一定の確認はしていますが、掲載されているというだけで、実際の労働条件まで保証されるわけではありません。厚生労働省にも、求人票と実際の労働条件が異なるという申出が継続的に寄せられています。
求人を見る → 店を検索する → 面接で確認する → 労働条件を書面で確認するという順番を意識しましょう。
そのほか、確認しておきたいこと
年齢確認と個人情報の扱い
18歳未満は、深夜(原則22時〜5時)に働けません。また、営業形態によっては、18歳未満が働けない店もあります。年齢確認をしない店は注意が必要です。身分証のコピーの管理方法、源氏名の扱い、写真やSNSへの掲載の同意についても、確認しておくと安心です。
体験入店の条件
体験入店で、賃金は出るのか、何時間までか、日払いなのかを確認しましょう。「体験だから無給」と言われる場合は、特に注意してください。
お客さんからの迷惑行為への対応
しつこい誘いや、お触りなどの迷惑行為があったときに、店がどう対応してくれるのかも大切です。「出入り禁止にする」「スタッフが間に入る」など、具体的に説明できる店は、安心材料になります。
応募前チェックリスト
店舗について
- 店名・住所・電話番号が確認できる
- Googleマップなどで店舗が確認できる
- 公式サイトや公式SNSなどで、お客さん向けの営業実態(営業時間・料金・メニュー・イベントなど)が確認できる
- 面接の前後に、店舗の場所や雰囲気を確認できる(見学できるとより安心)
契約・給与について
- 雇用か業務委託かが分かる
- 実際の時給
- バックの条件
- 天引きされるもの(使っていなくても固定で引かれるものがないか)
- 給与計算の単位
- 給与の締め日・支払日
- 交通費
働き方について
- 集客ノルマの有無
- シフトを減らされる条件
- ビラ配り・呼び込みの有無
- キャストドリンクで飲酒が必要か
- 終電上がりが可能か
- 送りの条件・料金
面接時
- 求人票と違う条件が出ていないか
- 別店舗・別業種を突然勧められていないか
- 労働条件を書面でもらえるか
働き始めてから「おかしい」と思ったら
違和感を持った場合は、次のものを残しておくことが大切です。
求人画面、LINEやDM、労働条件通知書や契約書、勤務時間の記録、シフト表、給与明細、振込記録
特に勤務時間は、自分でも出勤・退勤時刻を記録しておくと、給与計算と見比べられます。
求人と条件が違う、賃金が支払われないなどの問題があれば、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談できます。業務委託と言われている場合でも、相談は可能です。
犯罪被害や、望まない性風俗などへの誘導で危険を感じる場合は、警察相談専用電話**「#9110」**への相談も選択肢です。身の危険がある緊急時は、110番に連絡してください。
まとめ
コンカフェやガールズバーで働くこと自体を、必要以上に怖がる必要はありません。大切なのは、「夜のお店だから多少おかしくても仕方ない」と思わないことです。
求人より時給が低い。よく分からない罰金や天引きがある。使っていないのに毎月固定で引かれるお金がある。働いた時間が切り捨てられる。客を呼ばないとシフトを減らされる。大量の飲酒を求められる。終電後まで働くのに帰る手段がない。応募した店とは違う仕事へ誘導される。
こうしたことは、「夜職だから普通」で済ませる話ではありません。
応募前にできる一番簡単な対策は、店名・住所・電話番号を検索して、本当に営業している店なのかを確認することです。そのうえで、条件を書面で確認し、おかしいと感じたら、その場で決めずに持ち帰る。それが、自分を守る第一歩です。
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の事案についての法的な判断ではありません。具体的なトラブルは、労働基準監督署・労働局や、弁護士などの専門家にご相談ください。
参考

